定年退職者が増える中、ノウハウを社内に残すことが急務だった
株式会社環境と開発
株式会社環境と開発 代表取締役 田邉 陽介 様
「当社の核となる事業は建設コンサルティング。測量から土木設計、開発許可取得までのサービスを一貫してご提供しています。
宅地や店舗、工場などの開発を行う上では、土地や環境に関する法律をはじめ、カバーすべき項目がたくさんあります。
総合的な知識を必要とする仕事なので、社員一人ひとりにノウハウが蓄積され、ブラックボックスになりがちな状態でした。
創業して今年で42年。これからどんどん定年退職者が出てくるタイミングです。
経験豊富なベテラン社員のノウハウが誰にも引き継がれていない現状は認識していましたが、「うちの仕事は特殊だから……」と対策を後回しにしてきました。
しかし、あるセミナーで2.1さんを知り、コンサルティングの仕事そのものの可視化に着手することにしたのです」
「今回依頼したのは、『コンサルタント業務』に関するマニュアル作成です。
2.1さんによる現場担当者への丁寧な取材を重ねる過程で、社員によって法律や仕事の理解度に差がある状況が明らかになりました。
みんな分かっているだろうと思っていたことが、実はそうではなかった。
例えば、森林法に基づく開発計画を立てる場合、そもそも、森林法とはどんな背景があって定められた法律なのかを理解しておかなければ、後々矛盾やトラブルが発生しかねません。
ですが、基準をクリアする図面は描けていても、その根拠となる計算式や理論まで理解できている社員は一部でした。
物事の全体が見えていないと、間違いに気づけません。上司が赤入れした内容を修正するだけでは、単なる作業です。
なぜそこに赤が入ったのか、その背景にある意味までしっかり理解しておかないと、ミスは起こるし、将来の伸びしろにも差が出てきます。
こうした標準化されていない状況を表出し、統一する効果もマニュアルにはあることに気がつきました」
「マニュアルを作ることで、仕事の柔軟性が失われるのではないか……。
そんな懸念も社内から上がっていたため、制作に入る前に、マニュアル導入の目的周知を時間かけて行いました。
個人の中に溜め込まれている経験知を可視化し、形式知にすることで業務品質を平準化する。
それは、あなた自身のためにもなりますと丁寧に伝えました。
結果、マニュアル制作に対して社員も協力的になり、自らの業務の手順書をまとめてきてくれる人もいて、社員の意外な一面を知る嬉しい機会となりました。
マニュアルは作って終わりではなく、習慣化のプロセスも大事だと思っています。
それには、全社員への徹底的な落とし込み作業が必要。
今でも、部門ごとに関係するメンバー全員でマニュアルの読み合わせ作業を行なっています」
「マニュアル導入後、少しずつですが業務のフォーマット化が進んできました。
これまでは人によってやり方が違ったものが統一され、効率化されてきていることを実感しています。
マニュアルが整えば、今まで10年かけて習得してきた知識を3年で学ぶことができ、個人の成長スピードを早められます。
そして、業務の効率化によって、受けられる案件も増える。今回作ったマニュアルは、当社の規模を大きくするためのベースにしたいですね。
そのためにも、次は営業プロセスをマニュアル化したいと思っています。
当社はこれまで体系だった営業活動をしてきていませんが、営業活動の手がかりとなるマニュアルを先に作り、そのやり方がうちに合ったものかを検証しながらブラッシュアップしていきたい。
変革期にある会社を支えてくれる、大切なツールになってくれることを期待しています」